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自然工房 与十朗
漆の豆知識

  漆の性質


漆は、漆の木から採取される樹液で、天然の高分子化合物です。 化学的にはフェノール系の天然樹脂で、日本語的に言うと、石炭酸性脂の一種になります。 用途は違いますが、防腐剤のクレゾールなどと同類と言えます。 主成分はウルシオールと言われる油です。 この油の中に水が分散し、乳液状になったものが漆です。 化学的には乳化重合体と言い、最近流に言えばエマルジョンです。
 漆の硬化する過程は、牛乳が乾燥し半透明の硬い皮膜になる事と物理的には同じですが、漆の場合少量のラッカーゼという酵素が、漆の硬化に深く関わっています。 この酵素が、空気中の水分から酸素を取り込み、酸化重合を促進し、硬い皮膜をつくります。 漆が硬化するのに温度(25℃)と湿度(85%)が必要なのは、この酵素が活発になる条件で、お米を発酵させてお酒にする酵素の場合と同じ様に、カビの発生しやすい環境が漆の硬化に最適とも言えます。 酵素は生き物なので、高温にすると死んでしまいます。 加熱した漆は常温では硬化しなくなりますが、150℃くらいに加熱すると硬化します。 これは、熱硬化性プラスチックのフェノール樹脂を金型で加熱する事で硬化成型する事と同じ現象で、昔は鉄砲や大砲、鉄鍋などに、錆び止めとして広く行われていました。
 漆は、酸やアルカリ、塩分、アルコール等に対しての耐薬性や防水、防腐性があります。 また、電気に対する絶縁性も持っています。
 漆の樹から採取された状態を〔原料生漆〕とよびます。 これを精製したものを〔精製生漆〕と呼びます。 精製生漆は用途に合わせて次の3つの種類に加工されます。
 "生漆"〔きうるし〕"透漆"〔すきうるし〕"黒漆"〔くろうるし〕です。 色のあざやかな漆は、透漆から作られる"朱合い漆"〔しゅあいうるし〕をベースに、色々な顔料を加えて作られます。          
 漆は浸透力が有り、その塗膜が乾固しても中で酵素が生き続けています。 表面の色艶が褐色から徐々に透明感を増し、美しい色合いへあざやかに変化していきます。  これは、千利休が求めていた美の世界〔わび〕、〔さび〕、に通じるものがあります。  
 数千年も前から食器類をはじめとする日用品や、船舶、建築物等に塗料として広範囲に利用されてきました。 そのルーツを辿ると、なんと足長蜂にたどり着くのです。
 足長蜂の巣の付け根の部分に黒いものが固まっているのが漆です。
 自然の中で蜂が本能的にそのことを知っているのでしょうか。それを知った人類が、狩猟の時に使う、やじりの取り付け部分に、やはり接着剤として利用したのが人間と漆の出会いの始まりと言われています。その後、食文化と共に発展をしてきた訳です。
 漆と漆の技法は、大陸の仏教文化や食文化と共にシルクロードを経て日本に伝えられました 。 正倉院の宝物や、法隆寺の宝物にそれを窺知することができます。
 このように漆とその技法は、日本の文化と共に美しさを求め続けて発達し、現在に伝えられてきたものです。
 うるしは「うるおう」とか言われています。漆の艶や塗り肌を表現したものでしょう。日本の永い歴史の中で漆が愛され続けられたことが言葉の中に残されています。
 知れば知るほどに不思議で奥の深い漆は、自然の天然素材で地球環境にやさしい無公害の塗料です。